デジタル機材と初音ミク
今回は、・・・そう、もう既に飽きてしまった方もおられると思うので、今回でハードロック&へヴィメタルを軸にしたサブカル論議をいったん終了したいと思います。
次回のテーマは・・・やはりオタクの王道としての“漫画”を扱ってみたいと思っています。
さてさて、ではハードロック&へヴィメタルの最終回を始めたいと思います。最後のテーマは“機材”です。中でもギターに関しての機材の変遷を見つつ、昨今流行のヴォーカロイドについても少々語ろうかと思います。
ギターの、とりわけエレキギターの機材と言えば、アンプとエフェクター、これに尽きると思います。デジタル機材が世に出る前まではサウンドメイキングはほぼこの2つの要素で行っていたはずです。
アナログの音、とはCDとレコードを比較されるときにも言われますが、ギターの音についても頻繁に出てくるものです。
しかしこれは余談ですが、CDやレコードにしても人間が生で感じる音を再現することは極めて難しく、よってそれはライブとレコードで別物と考えるのが通常です。ミキシングとマスタリングの末に生まれてくる“音”は明らかに人工物で、生演奏を会場で感じるものとは異質なものです。
こと顕著なジャンルはクラシック音楽でしょう。レコード化するとかなりちゃっちく感じます。電気を通さない楽器は生の存在感には適いません。しかしプラグド、つまりエレキ演奏の音楽は、生とレコードでは確かに別のサウンドなのですが、生楽器のような違いの大きさを感じません。それは生であろうともおのおのの音をミキサーに集積し調整されているからです。クラシックも確かに集音していますが、録音用です。会場スピーカーからは通常流しません。
このことは何を意味するのかというと、ミキサーを担当する人の“個性”が嫌でも出てしまうということです。そしてこれはレコードでも言えることです。
さて、このことはギターのアンプや音つくりにも大きな結果的影響を及ぼします。
いくらいい音で作り上げてもミキシングでまったくの別ものになってしまうことがあります。この悲劇を蒙った例として有名なのはディープパープルやレインボーでしょう。
端的には“篭り”です。これは明らかにミキシングの腕が悪いからです。
現代のデジタル技術が過去のこういったかわいそうな音質をリマスターで見事にクリアにしています。ということも、ミキシング如何で音はいくらでも作れる、ということの裏返しです。
ということで、現代の音楽制作環境はデジタル抜きでは語れなくなりました。
と同時にそのことはアナログ的な本来の“体感”の感動から遠ざかっていることも意味します。効率よく、よい音で、簡単に流出できること、確かにそれは便利で消費者にとってはうれしい要素が多いかもしれません。
しかしこれは人間の動物化の促進をも意味していると私は考えます。
アナログの温かみ、とは実際の感触というよりもそういった時代の流れが産み出す本質的なものへのノスタルジーをも含んでいるように感じます。
デジタルはあくまで最高のアナログを目指す技術に過ぎないのです。
最後にヴォーカロイド。
初音ミクが大フィーバーしましたが、これはデジタル世界ならではの面白さが開花したものと考えます。60年代末ころからサンプリングという手法はありましたが、作業はあくまでアナログでした。今では数秒でできるループもその時代は何時間、何日もかけてやっていたそうです。数値入力ではなく、いわゆる人間の感が大きく作用していたサンプリングは確かに技術的でありました。シンセサイザーという楽器も似たような進化の歴史をたどります。何十ものプラグを抜き差しする光景はすさまじい。パフォーマンスとしても強烈で何ともいえないような凄みを感じさせてくれます。
さて、ヴォーカルサンプリングに関してですが、初音ミクの前にも実はいくつかサウンドボードというかたちで販売されてたりもしたのですが、イマイチヒットしませんでした。
初音は、その名称があるということとキャラとしてのイラストもあることで、オタクに対してクリティカルヒットしたものと考えます。先のサウンドボードには感情移入ができないが、初音はできます。完全にキャラ立ちしているからです。
そしてこれこそがデジタルによるデジタルならではの創作と言えましょう。
ギターのアンプもシミュレーターが主となり、宅録もPCとソフトの技術進歩で安価で高品質な作品が作れる環境になりました。
この後はアイデアでしょう。
これはあらゆる分野にも広がっています。
もはや“オリジナル”への期待は薄く、直感的な感性に訴える作品が支持を得るようになっているかと思います。
つまり、多様化です。
サブカル研究室の主題でもある多様化はいたるところで見出すことができると思います。
では、これにてハードロック&へヴィメタルがらみのお話をいったん終えたいと思います。
次回ご期待いただければ幸いでございます。
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